ビジネス ダッシュボードとは?
理想的なビジネス ダッシュボードについては、多くの場合、それぞれの個人にそれぞれ別の考えがあるものです。ビジネス ダッシュボードは経営ダッシュボードとも呼ばれますが、もともとは自動車のダッシュボードを原型とするものでした。自動車のダッシュボードは、視覚的なゲージとディスプレイを組み合わせてボンネットの下で何が起こっているのかを見てわかるようにするもので、これが車のステータスを知るための手がかりとなります。同様に、優れた設計のビジネス ダッシュボードは KPI、メトリック、その他の重要なデータ ポイントを視覚的に表示し、会社、部門、あるいは特定のプロセスのステータスがわかるようにします。
この記事でビジネス ダッシュボードについて話す場合、ビジネス インテリジェンス ダッシュボードは意味しません。ビジネス インテリジェンス ダッシュボードは、会社の統合に役立てたり、ビッグ データから価値を引き出したりする場合には重要ですが、これから話をするのは、戦略的目標と比較した業績に関するインサイトを役員や主要関係者に示すためのビジネス ダッシュボードです。
ビジネス ダッシュボードの種類
一般的に、ビジネス ダッシュボードには分析向けと運用向けの 2 種類があります。どちらのタイプのビジネス ダッシュボードが適切であるかの判断は、提示したい情報、情報から利益を得るオーディエンス、データのタイムライン次第です。
分析ダッシュボードでは、長期間にわたる膨大なデータを見てトレンドに関するインサイトを得ます。こうしたダッシュボードは、役員と分析家が戦略的な長期目標と業績管理の整合性を図ることを目的としています。運用ダッシュボードは、通常、差し迫った短期的な目下の目標を見るもので、中間管理職と一般労働者向けです。
ダッシュボードの目的によっては、分析ダッシュボードと運用ダッシュボードの両方が混在する場合もあります。いずれにしても、ダッシュボードの目的を決定し、オーディエンスがそこに含まれるデータを最大限に取得できるようにすることが重要です。
ビジネス ダッシュボードに何を含めるか
意図されるビジネス ダッシュボードのオーディエンスによって、含めるべきメトリックと重要業績評価指数 (KPI) を決めることができます。メトリックと KPI は同じものだと考える人は少なくありません。しかし、これらの 2 種類の可視化には若干の違いがあります。
メトリックとは?
ビジネス メトリックは、企業がビジネス プロセスの追跡、監視、評価に利用する定量化可能な尺度です。ビジネス ダッシュボードに含めるビジネス メトリックは、オーディエンスに合わせて調整する必要があります。会社のすべての分野について同じメトリックを含める必要はありません。
各ビジネス分野では、その取り組み特有のメトリックを見たいと考えます。たとえば、マーケティング部門がキャンペーンの成功を追跡したり、セールス チームが新しいリードと今日までの売り上げを監視したりするなどです。ビジネス ダッシュボードを計画する場合には、必ずオーディエンスと、オーディエンスに最適なメトリックについて検討します。
また、ビジネス メトリックを効果的なものにするためには、コンテキストの提供も欠かせません。ビジネス メトリックを追跡するメリットは、確立済みのベンチマークや戦略的目標と比較する場合に生じます。このコンテキストは、ビジネス リーダーが目標を順調に進めたり、また計画より遅れた領域で行動を起こしたりするのに役立ちます。
ビジネス メトリックの例として、次のようなものがあります。
- 売上収益
- 顧客ロイヤルティと顧客維持
- 解約率
- 生産性比率
- 粗利益の規模
- 月次損益
- 間接費
- 変動費
- 在庫規模
- オンライン コンバージョン
KPI とは?
重要業績評価指標 (KPI) は、組織の成功に欠かせない特定の要因と戦略的目標のパフォーマンス評価に使われるビジネス メトリックです。KPI によって、個人、チーム、企業が目標にどの程度首尾よく近付いているかについてのインサイトが得られ、主要なビジネス目標に対するパフォーマンスを測定できます。
KPI の例として、次のようなものがあります。
- 売上成長
- 販売機会
- 売上目標
- 製品の業績
- 営業担当者あたりの売上
- マーケティング ROI
- 目標達成率
- リード獲得単価
KPI とビジネス メトリックの違い
KPI とビジネス メトリックは、どちらも戦略的目標と取り組みに対してビジネスの状態を測定するものであり、よく似ています。違いは、それぞれの一般性にあります。ビジネス メトリックはビジネス プロセスが目標に対してどの程度基準を満たしているかに注目しますが、KPI は業績の重要な部分に的を絞ります。
ビジネス ダッシュボードの主なメリット
会社が利用可能な大量のデータを使って、ビジネス リーダーがそのデータを把握し、重要なビジネス上の意思決定に役立てることが不可欠です。さらに、正しい決定を行うためには、迅速に主要データを明らかにしてインサイトを集める能力が必要です。優れた設計のビジネス ダッシュボードを利用すると、指先ひとつで最新のデータにアクセスできます。
ビジネス ダッシュボードが不可欠である理由の一部を紹介します。
- 可視性を提供:しっかりと構築されたビジネス ダッシュボードでは、組織のあらゆるレベルのユーザーが行っている作業を可視化できます。おおまかなプロジェクトのステータスであっても、予算の概要であっても、あるいはチームの販売目標であっても、可視化という考え方はダッシュボードを実装すべき重要な理由になります。
- 責任を追加:可視性の残り半分は説明責任です。ダッシュボードは行っている作業だけではなく、誰がその作業を行っているのかも可視化します。組織のあらゆるレベルのユーザーが作業のステータスを確認できると知っていれば、個人が良い仕事をする可能性が高くなります。
- リスク特定を改善:大きな問題になる前にリスクを特定する能力は、ビジネス リーダーに欠かせません。リアルタイムのビジネス ダッシュボードを使うと、順調に進んでいない可能性のあるプロジェクトや作業が簡単に明らかになるため、マネージャーは早い段階でリスクを評価して軽減できるようになります。
- 時間節約を改善:一般的にさまざまな組織の従業員が、情報を収集すること、プレゼンテーションを作成すること、インサイトを報告するため自分や組織の主要関係者向けにデータを取りまとめることに時間を取られています。ビジネス ダッシュボードを使えば、より自動化されたリアルタイムの方法で主要インサイトを表すことで、データを集めて報告する時間を節約できます。
- 手間なく KPI を追跡:企業や個人に特有のものであっても、KPI は、あらゆるビジネス、あらゆるレベルのキー ドライバーであり、そうした KPI を明らかにし、確認し、これに対して行動する能力は極めて重要です。これらの KPI を整理された理解しやすい方法で強調するビジネス ダッシュボードは、皆の作業が順調に進むよう支援します。
- チームのスピードとアウトプットを向上:これは時間節約のまた別の側面です。研究によると、作業の中断は生産性を大きく下げることになります。重要なデータをダッシュボードで簡単に見られるというのは、つまり、役員は必要なときに情報を利用でき、そのために誰かの作業を中断させることもないということです。
効果的なビジネス ダッシュボードを構築する場合の 2 つの課題
これでビジネス ダッシュボードの重要性がわかりましたが、チームが実際に使い、マネージャーが価値の高さを認めるダッシュボードを構築するにはどうしたらよいでしょうか。実用的なビジネス ダッシュボードを開発するための主な課題とベスト プラクティスを特定しました。
主な課題その 1: どのビジネス メトリックを含めるか決定する
ビジネス ダッシュボードを開発する際の主な課題の 1 つは、どのメトリックと KPI を含めるかを決定することです。オーディエンスがダッシュボードに価値を見出せるよう、オーディエンスにとって重要なメトリックを含める必要があります。一般的には、個人が利用できるデータは非常に多いため、情報は多い方が良いと考えて、すべてをビジネス ダッシュボードに含めたくなります。残念ながら、これでは多くのダッシュボードがオーディエンスに主要な情報を届けられなくなります。
ベスト プラクティス: オーディエンスを第一に考える
含めるメトリックを決めるときには、オーディエンスのニーズを考えることから始めてください。ダッシュボードを設計するときには、オーディエンスによって求めるダッシュボードが異なることを認識します。オーディエンスが必要としているもの、データを見る頻度、そのデータから知りたい情報、その事柄について既に知っている内容を検討します。
加えて、最も重要なメトリックを先に決め、それから基礎となるメトリックを特定する必要もあります。最も重要なメトリックは、その下の詳細まで掘り下げる補助的なメトリックを添えて、上部に目立つように表示するとよいでしょう。たとえばセールス パイプラインのダッシュボードで、最も重要なメトリックがパイプラインの合計サイズであれば、これを最上部付近に表示する必要があります。それから、全体数に大きく影響する特定のビジネス機会などセールス パイプラインの根拠をなすデータを表示しますが、これらは主要メトリックの補助的なものです。
主な課題その 2: 人が使うビジネス ダッシュボードを構築する
ビジネスダッシュボード開発の主な課題のもう1つは,人が実際に使うダッシュボードを作るということです。ビジネス ダッシュボードを高い価値のあるツールとして成功させるためには、含めるべき適切な情報を特定してユーザーに投資利益率を示すことが重要です。
ベスト プラクティス: シンプルに保ち頻繁に見せる
こうするための方法の 1 つは、ダッシュボードをシンプルに保つことです。前述のとおり、企業が利用できるデータは非常に多く、できるだけ多くのチャートやグラフを使ってできるだけ多くのデータを含めなければならないと感じることがよくあります。しかし、ビジネス ダッシュボードに含めるデータが多すぎると、オーディエンスにとってはデータが過剰になってしまう可能性があります。そうではなく、含めるべき主要なメトリックを特定し、その他はすべて取り除いてください。過剰な情報、入り組んだグラフィック、不要な機能があると、ダッシュボードが使いにくくわかりにくいものになります。
確実にユーザーがビジネス ダッシュボードに価値を見出すもう 1 つの方法は、オーディエンスと共有してフィードバックを求めることです。ダッシュボードの真の価値は、ユーザーに提供する情報にあります。意図されるオーディエンスが必要な情報を得られないのであれば、調整する必要があります。ユーザーが最大の価値を見出せるよう、メトリックを含め、ダッシュボードのレイアウトと書式を改善し続けるようにします。
ビジネス ダッシュボードのメトリックを定義するための 6 つのヒント
作業の性質と意図されるオーディエンスによって、ダッシュボードに含めるビジネス メトリックはさまざまです。どのメトリックを含めるかの決断を支援するため、ビジネス ダッシュボードのメトリックを定義するためのベスト プラクティスを次のリストにまとめました。
1. メトリックは必ずビジネス ユーザーにとって重要なものにします。
ダッシュボードのユーザーがダッシュボードに価値を見出せるよう、含まれるメトリックは必ずユーザーにとって重要なものにします。オーディエンスは何を知る必要があるのか。どの程度の詳細を必要としているのか。ビジネス ダッシュボードのメトリックを定義するときには、この 2 つを自問する必要があります。オーディエンスにとって最も関連性の高いメトリックを提供できれば、ダッシュボードが使われるかどうかに大きな違いが出ます。
2. 実用的なメトリックを含めます。
実用的なメトリックとは、繰り返し可能なタスクや特定の戦略的目標とつながりのあるメトリックです。ダッシュボードに含めるメトリックを改善できない場合は、そこに労力を費やすべきではありません。ダッシュボードの目的は、特定の目標に対する重要業績の向上を支援することです。このプロセスに役立つメトリックを含めることが重要です。
3. メトリックは頻繁に測定する必要があります。
ダッシュボードのメトリックは、ユーザーに最新情報を提示できるよう頻繁に測定する必要があります。主要なインサイトにリアルタイムでアクセスできるようにすることは、ダッシュボードの有効性の一部です。オーディエンスがダッシュボードに含まれる情報を必要とする頻度を見定め、それに応じてデータが更新されるようにしてください。
4. メトリックを簡単に解釈できる書式を使います。
ビジネス ダッシュボードを構築するときによくある間違いの 1 つが、さまざまな色とさまざまな種類のグラフ、チャート、ゲージを使うことです。こうすると、ダッシュボードは雑然としたわかりにくいものになります。そうではなく、ダッシュボードをできる限りシンプルに保ち、色使いを控えめにし、ユーザーがデータを理解できるようにします。
5. ユーザーに視覚的な警告を与え、必要な場合は詳細を含めることで、コンテキストを提示します。
ダッシュボードが実用的であるようにするため、おおまかなメトリックを提示してから補助的なメトリックを含め、ユーザーが原因を特定できるようにします。このコンテキストは、ダッシュボードをユーザーにとって実用的なものにするのに役立ちます。
6. あらゆるレベルのユーザーが個人の目標、部門の目標、戦略的目標を確実に把握するようにします。
ダッシュボードは、パフォーマンスが戦略的目標をどのくらい達成しているのかについてのインサイトを提示するために重要です。しかし、ユーザーが個人、部門、会社の目標が何なのかを知らなければ、ダッシュボードはあまり助けになりません。全員が確実に目標と、ダッシュボードがその目標達成にどう役立つかを把握しているようにします。
カテゴリ別ビジネス ダッシュボードに含めるべき主要メトリック
チームのニーズに最適なメトリックを定義する方法がわかったので、含めるべきメトリックの特定を始めることができます。ダッシュボードに含めるメトリックの数は、メッセージを理解させるために絶対に表示しなければならないデータの量によります。以下に、ビジネス カテゴリ別に追跡をおすすめするメトリックをご紹介します。
- セールス:収益対予算、新規顧客数、更新率、アップセル顧客、営業部門の生産性、獲得時間、獲得費用、市場シェア、顧客生涯価値、成功率
- マーケティング:適格な見込み客,適格なリード,クリックスルー率,コンバージョン率,リード単価,マーケティングROI、Web サイト トラフィック、顧客満足、競争順位、新規フォロワー
- オペレーション:インストール時間、カスタマー サポート チケット数、解決時間、従業員の定着、従業員の生産性、工場/設備の生産性
- 開発:締切に対するステータス、予算に対するステータス、バグ解決、チームの生産性、採用効率
- 財務:ネット キャッシュ対予算、バーン レート、現預金月商比率、債権回収日数、債務回転日数、銀行のコベナント比率
理想的なビジネス ダッシュボード ソフトウェアにするための機能
効果的なダッシュボードを構築するには、含めるメトリックを定義することも重要ですが、それを作成するのに最適なツールを選ぶことも重要です。しかし、世の中にあれほどビジネス ダッシュボード ソフトウェアがある中で、チームに最適なツールを選ぶにはどうしたらよいのでしょう。本質的にビジネス ダッシュボード ソフトウェアが備えているべき重要な機能を一覧にまとめました。
- 常に最新:ビジネス ダッシュボードが十分に役立つのは、含まれているメトリックとデータが最新情報であることをユーザーが確信できる場合です。基礎となる情報に変更が加えられた場合に、またはオーディエンスが情報を必要とする頻度に合わせたペースで定期的に、ソリューションが自動更新されるようにしてください。
- クラウド内:常に最新であることに加え、クラウドにあるツールを見つけられれば、いつでも、どこからでも、重要な詳細情報にアクセスできるようになります。この機能は、オフィスにいる場合でも、外出中でも、重要なビジネス会議中でも、常に情報とつながっているために重要です。
- シンプルかつ直感的:ユーザーにとってシンプルかつ直感的なツールを実装することで、チームが実際にダッシュボードを利用するようにします。多くのダッシュボード ツールが、無骨で使いにくい可能性があります。あらゆるレベルの技術的快適さについて使いやすく、しかし大量の複雑なデータを処理するのに十分な力のあるツールを探します。
- 簡単にカスタマイズ可能:ビジネス ダッシュボードを利用するメリットの一環として、常に最も重要な情報が表示されることが挙げられます。チームにとって現在重要なことが、明日には重要ではないかもしれません。情報の変化に応じて簡単にカスタマイズしたり、更新したりできるツールを探すようにします。
- 協働型:組織の内外を問わず、ビジネス ダッシュボードを主要な関係者と共有できれば、全員の足並みを揃えるのに役立ちます。組織のあらゆるレベルで、必要があれば誰にでもビジネス ダッシュボードを共有できるダッシュボード ツールを探してください。
- カラー機能:より簡単に利用できるようにビジネス ダッシュボードの書式を設定することは、ビジネス ダッシュボード ツールの便利な機能です。強調すべき主要データに色を付けたり、より優れた、組織的なデータの概観を提示したりできるツールを探します。
- モバイル:オフィスにいる場合でも外出中でも、どこからでもビジネス ダッシュボードにアクセスできれば、必要なときに即座に重要な決定を行うことができます。ユーザーが携帯電話やタブレットなどのモバイル デバイスでアクセスできるビジネス ダッシュボード ソフトウェアを探します。
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